“三”が導く伝える力

【日本三大そば】

日本の国民食として親しまれているおそば。
年越しそばや引越し蕎麦など、行事とも密接に結びついています。
みなさんは「日本三大蕎麦」をご存じでしょうか。
名産地は多くありますが、JALの観光ガイドによりますと、長野、岩手、
島根が挙げられています。長野県の戸隠そばは信州そばの代表ですが、
そばの育成に大切な要素である冷涼な土地と綺麗な水が、
長野県内のどこでもおいしいお蕎麦をいただける理由でしょう。
岩手は盛岡のわんこそばが有名です。一口分のおそばを次々にお椀に入れるエンタメは一度はやってみたくなります。
チャレンジした方は何杯食べることができましたか?
そして、ソバの実を殻ごと引いて割り子としていただく出雲そば。
私は東日本の出身のため、西のお蕎麦はノーマークでした。
先日、ふらっと立ち寄って食べた出雲そばがあまりにおいしくて
ちょっとびっくりしました。お店を変えて4日間で5回も食べに行きました。
そういえば、蕎麦の世界では「御三家」という言い方もあり、砂場、薮、
更科が江戸のそばの伝統を守っているとされています。
今回注目したいのは「三」という数字です。

【コミュニケーションで重要な要素】

「三種の神器」、「三本の矢」あるいは「日本三景」など、
日本では言葉の中に「三」が入っていることが多く、こだわりがあることがうかがえます。
コミュニケーションの世界でも「三」という数字はとても重要な要素です。
例えば、文章構成では、序論、本論、結論としたり、序破急(はじまり、展開、結び)などを使用することもあり、
それぞれ3つに分けて展開されています。このことは、何かを説明する際には「三」を意識するとわかりやすいと理解できます。
私たちは印象に残すために“覚えやすい”ことを大切な要素としますが、
3つ程度であれば、忘れにくく、覚えやすいですよね。
選挙の立候補者が名前を連呼する時に、
「やまだたろう、やまだたろう、 やまだたろうをよろしくお願いいたします」という言い方をしますが、
3回を1フレーズとすると塊となり、覚えることがたやすくなります。

また、名前の連呼は抑揚をつけて発します。
高い、低い、高いと音の高低をつけて響かせると納まりがよいと感じます。
このように安定感という意味で「三」は音の響きがよく、立体感が出ます。
三角形にバランスのよさを感じるのは、私たちが三次元の世界で生きているからかもしれません。

講演、営業、プレゼンなど、何かを説明する際には、
ポイント3つに絞ったり、3つの事例を出すたりすることをお勧めします。
「きょう、お話したいのは次の3つのことです」
「皆さんに守っていただきたいことが3つあります。」
「大切な3点についてお話します。」こんなイメージです。

【言葉の中の“三”】

最初に挙げたように、日本語の中にはあまり必然性がなくても、まとまりや収まりがよいことを狙って、
「三部作」や「三人三様」と言ったりします。
また、「石の上にも三年」、「二度あることは三度ある」、
「三度目の正直」などのことわざにもよく使われています。

では、話す時にどんな風に使ったらよいか。
参考までに事例を出しておきます。(内容の良し悪しは議論なしで…)

果物は体によい食べ物です。その理由は3つあります。ひとつめ、果物は抗酸化作用に優れ、老化や病気の原因となる活性酸素を取り除きます。また、食物繊維が腸内環境を整え、余分な塩分を対外に輩出するカリウムなどの栄養素が豊富に含まれています。そして3つめは疲労回復や免疫力の強化に役立つ働きがあり、健康維持にも一役かうことが知られています。このような点から果物は継続的に体に取り入れることが良い理由とされています。

いかがでしょうか。数字をわざわざ入れなくても、下記の様にすると自然な会話調になることも抑えておきましょう。

果物が体によい理由はおもに3つあります。 まず、抗酸化作用があり、
体の老化や不調のもとになるものを減らしてくれます。
次に、食物繊維やカリウムがたっぷりで、お腹の調子を整えたり、体のバランスを保つのに役立ちます。
そして、疲れをとったり免疫力をサポートしたりと、元気づく働きもあります。
こうした点から、果物は日々の生活に取り入れたい食べ物といえます。

さて、
出雲そばですが、食べ方に特徴があることでも知られています。
お蕎麦は朱色の丸い漆器に盛られて三段に分けて提供されます。
これは割子(わりご)と呼ばれています。まず直接つゆと薬味をかけて、
一段目を食べ終えたつゆを二段目にかけていく。
同じように二段目がなくなったら三段目、という風に「回し掛け」が一般的です。
三段で運ばれてきたおそばを見て、ここでも「三」を実感することになりました。
(写真は 松江市 小泉八雲の旧邸)

“三”が導く伝わる力|Motoko Kakizaki

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