言葉の影響力を実感しよう

実際にやってみることの大切さ

東京都の小池知事は発言が話題にのぼりやすい人物の一人です。知事という立場もさることながら話し方に特徴があります。カタカナをよく使い、最初は「?」と思うことも多いのですが、最終的には自分も会話に取り入れることになり、自分のボキャブラリーにつながっていることもあります。コロナ禍の「ソーシャルディスタンス」は覚えましたし、「都民ファースト」も「〇〇ファースト」と応用させたりしています。言いたい言葉を短く、標語のように作る才能にたけていて、それはメディア業界で培った経験からではないでしょうか。多くの人々の印象に残そうとする手法は、民放が好んで使う方法で、私も、頭のどこかで常に短くすることを考えています。

このように短い言葉はすぐに頭に入り、覚えてしまうことも可能です。しかし覚えるだけでは足りません。私たちは頭で覚えることが得意で、それで出来た気持ちになります。しかし、使ってみなければ、身に着いたとは言えません。相手の反応も確かめながら修正する必要があるからです。プレゼンテーションも同じです。つかみが大事だと思ったら実際にやってみて、つかんでみないとその効果はわからないものです。

ポジティブな言葉の威力

言葉を口に出すと気持ちや行動に結びつくことはよく知られています。ダイエットをする時は人に話すと、自分の気持ちが固まりやる気になるというのです。口に出したら最後、なんとしてもやり抜くぞというプラスの気持ちが醸成されて、結果、良いエネルギーが体重を落とすという行動につながると言われています。このことは逆の意味でも同じです。ネガティブな言葉を発する人は、マイナスのハートを持ち、やる気をそぎ、思考を逆回転させる、つまりうまく行かないエネルギーになってしまいます。ですから、私たちも会話の中で、ネガティブな言葉はできるだけ使用しない方がよいと言えます。

表現を変えてみる

例えば、「無愛想な人」は「クール」、「あきっぽい人」は「切り替えが早い」、「計画性がない」は「行動力がある」に変えるとどうでしょうか。全然ちがって聞こえますよね。「うるさい、静かにしろ」というよりも「きょうはにぎやかですね。私の声が聞こえますか」などという方が柔らかい言い方になり、摩擦が起きなくてすみます。ほんの少しの気遣いですが、ネガティブなことをポジティブに変えていくきっかけになると思うのです。これを常に実践することで、未来に前向きになり、笑顔が増え、希望に満ちて、よい行動循環が生まれることまちがいなしです。

伝える時は短く

さて、小池知事のテクニックに戻りますが、ショート&シンプルに越したことはありません。例えば視聴率を競っているテレビにその技術を見ることができます。テレビニュース項目を見ていると、15文字ぐらいでタイトルが書かれていることに気づきます。新聞の見出しやSNSニュースのタイトルを見てもキャッチーな言葉が短く並んでいます。これはなぜかといいますと、そのあとに続く記事を読んでほしいからです。つまり「一目見て理解できる内容」が重要なのです。短くシンプルに話すことは聞いている側にとって各段に理解がしやすい。これこそが伝わるテクニックの基本です。

生活全般に影響する言葉

言葉は生き物です。ふだん使っている言葉の表現の仕方を変えるだけで、その人全体の雰囲気やヒトトナリが変わります。生活全体に影響があると言っても過言ではありません。なぜなら自分以外の人に影響を及ぼすからです。家族や親友といったごく親しい人、いつも一緒に行動している人、空気のような存在の第三者が、まず最初に気づく傾向があります。客観的にあなたを見ている人だからこそ意識できるのだと思います。ポジティブな言葉に変化させる技、短い標語を作る技、そしてそれらをアウトプットする技を試し、あなたの親しい人の反応を確かめてみてください。

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